2023/02/10 21:43
みなさんこんにちは。
神秘的な紫色が魅力のアメジスト
バイカラーのグラデーションが朝焼けの時間を思わせるアメトリン
真夏の太陽を閉じ込めたようなシトリン・・・
クオーツ(水晶)の仲間には魅力的な宝石がたくさんあります。
今回はこのクオーツについてお届けします。
(写真は研磨前のアメトリン。*当社取引先工場提供)
●クオーツもガラスも二酸化ケイ素じゃないの?
実際は、クオーツもガラスも二酸化ケイ素という物質がもとになっています。
ではクオーツとガラスは同じなの?と思いますが、実はその結晶の仕方が異なるため、宝石鑑別では明確に区別されます。
人工クオーツというものも存在しますが、宝飾品に使われることはあまりないようです。人工クオーツは大きく、まったくクラック(ひび割れ)がないものを作ることができるメリットがあり、工業製品や、特に大きな水晶製品(占いでつかう大きな水晶玉など)に使用されているようです。
私の見識不足かもしれませんが、大きな水晶玉で全くクラックや曇りのない天然クオーツ製のものに出会ったことがありません。仮にあるとしたら、どんなに大きな水晶の柱をもとに削り出したのか・・・
小さな宝飾品に人工クオーツを使用すると非常にコストがかかり、むしろ天然クオーツを使用した方が価格を抑えられるという事情もあります。
私の見識不足かもしれませんが、大きな水晶玉で全くクラックや曇りのない天然クオーツ製のものに出会ったことがありません。仮にあるとしたら、どんなに大きな水晶の柱をもとに削り出したのか・・・
小さな宝飾品に人工クオーツを使用すると非常にコストがかかり、むしろ天然クオーツを使用した方が価格を抑えられるという事情もあります。
鑑別機関では「天然」と鑑別しきれない場合、「クオーツ」の表記のみを行うことがあります。
※繰り返しになってしまいますが、クオーツとガラスは明確に鑑別上分けられます。
当店でも多数の天然クオーツ製品を販売しておりますが、オプションとして付けられる鑑別書は特別な鑑別を実施できる機関のものをお勧めしております。
いままで当店でそういったことはありませんが、超高品質の天然クオーツの場合、こうした高度な鑑別技術を持った機関でも「天然」と断言できないケースは稀にあるようです。前述の通り人工クオーツを宝飾品に使用するメリットはほとんどありません。
いままで当店でそういったことはありませんが、超高品質の天然クオーツの場合、こうした高度な鑑別技術を持った機関でも「天然」と断言できないケースは稀にあるようです。前述の通り人工クオーツを宝飾品に使用するメリットはほとんどありません。
(写真は研磨後のアメトリンの製品写真。*当社取引先工場提供)
●天然クオーツのエンハンスメントについて
天然クオーツについて、製品としての品質を高めるため、各種エンハンスメント・トリートメントを行う場合があります。
例えば、シトリンについては濃いイエローを出すため、もともとアメジストとして産出された宝石に加熱処理を行う場合があります。
この加熱処理は加減が難しく、低品質の天然シトリンでは加熱しすぎでクラックが膨張し、割れやすくなっているものを見かけることがあります。
当店で販売するシトリンにも宝石産地でエンハンスメントを実施しているものもありますが、内部のクラックを確認し、
お客様の手元で割れるといったことがないよう細心の注意を払っています。
また、加熱といっても、元のアメジストの品質によって、色味の美しさが変わってきます。
この加熱処理は加減が難しく、低品質の天然シトリンでは加熱しすぎでクラックが膨張し、割れやすくなっているものを見かけることがあります。
当店で販売するシトリンにも宝石産地でエンハンスメントを実施しているものもありますが、内部のクラックを確認し、
お客様の手元で割れるといったことがないよう細心の注意を払っています。
また、加熱といっても、元のアメジストの品質によって、色味の美しさが変わってきます。
このように天然アメジストは加熱しますと黄色になってしまうため、アメジストとして販売する場合は通常加熱しません。
一方、あえて絶妙な加熱具合で、退色した部分とそのままの紫の部分を残したものをアメトリンとして使用します。宝石職人の方によると、このエンハンスメントはかなりの熟練が必要なようです。もちろん、自然の中で色が変化し、最初からアメトリンとして産出されるものもあります。
逆に、色の薄いアメジストの色を濃くする方法はないようです。
このようにアメジストは熱によって退色するため、当店では在庫品は太陽光線から避ける目的で、暗い箱で管理しています。日常生活で退色に気づくことはあまりないですが、直射日光のあたる環境下で、頻繁に着用するとやはり多少退色が発生してしまう恐れがあります。お客様においても、保管の際にはジュエリーボックスに入れるなどの暗所保管をおすすめします。
●クオーツの仲間たち
クオーツについて述べてきましたが、実はクオーツにはいくつかの仲間があります。
・カルセドニー これは結晶の仕方で、透明感のない単色のものを主に示します。
・アゲート カルセドニーのように透明感のないもので、縞模様のものを示します。
これらの種類の分別はかなり微妙で、意見が分かれるところのようです。例えば一般に「黒いカルセドニー」をオニキスと呼びますが、厳密には「黒に縞模様が入ったもの=アゲート」をオニキスと呼ぶ、という考え方もあるようです。当店では縞模様のないものもオニキスと呼んでいます。
参考文献:諏訪恭一『価値がわかる宝石図鑑』ナツメ社,2016